近年、後継者問題を理由に廃業に追い込まれる中小企業が増加傾向にあります。後継者問題を解決するための糸口として挙げられる方法は、事業承継とM&Aの二つ。言葉は耳にしたことがあっても、具体的に何をするのかわからないという方が多いのではないでしょうか。今回は、後継者問題に悩んでいる企業の方に向けて、後継者問題の原因と解決の糸口について解説します。
後継者問題の原因
中小企業における後継者問題はどのような背景によって引き起こされるのでしょうか。ここでは、後継者問題の原因についてご紹介します。
事業の先行きが不透明
後継者問題の理由の一つに、事業の先行きが不透明であることが挙げられます。
先ほどご紹介したように、後継者問題に悩む企業の多くは製造業です。製造業は技術革新のスピードが早いため、
資金力・経営者の手腕が及ばない場合、事業そのものの先行きが不透明になりやすい傾向があるのです。
後継者の担い手がいない
経営者が後継者に対して事業を継承する場合、親族に事業継承をする「
親族内承継」、親族以外の第三者に事業継承をする「
親族外承継」のどちらかを選択することになります。
しかし、親族や従業員の中から後継者を探そうとしても、
親族に家業を継ぐ気がなかったり、簡単には後継者候補が見つからなかったりするもの。このような背景から後継者の担い手を見つけることができず、後継者問題に直面してしまうのです。
事業承継を終えられない
事業承継とは、現在の経営者が事業や会社そのものを後継者に引き継ぐこと。
事業承継を行うためには、登記などの名義変更だけではなく、後継者に対して現在の経営状況を伝えたり、承継後の経営方針を策定したりする必要があります。事業承継に必要な一連の手続きを終えるためには、
数年単位の時間がかかるため、事業承継を進めている途中で経営が傾き、廃業に追い込まれる企業もあるのです。
後継者問題解決の糸口
中小企業の経営者に対して行ったアンケートによると、
60歳以上の経営者のうち半数以上が廃業を検討していることがわかりました。(※2)
多くのノウハウや技術を持った中小企業を廃業で終わらせてしまわないためには何ができるのでしょうか。ここでは後継者問題解決の糸口についてご紹介します。
(※2) <a=href=”https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/sme_findings200124.pdf”>日本政策金融公庫総合研究所『中小企業の事業承継に関するインターネット調査(2019年調査)』
M&Aによる第三者承継
M&A(Mergers and Acquisitions)とは、資本の移動を伴う企業の買収・合併を指します。
後継者問題の解決策として
M&Aを行うことで、買収側の企業が事業をそのまま引き継ぐ形になるため、従業員の雇用を継続することが可能です。事業譲渡の場合であっても、売却を選ぶことで長年培ってきた自社の技術を使ってもらえたり、経営者の想いを引き継いでくれる買い手を見つけたりすることができれば安心でしょう。
計画的に事業承継を行う
先ほど事業承継を行う際には、数年単位の時間が必要であることをご説明しました。各種行政手続きのほか、後継者に対して経営状況や取引先情報などを伝える必要があります。
前もってこれらの
情報を資料にまとめたり、後継者選びをしておいたりすることで、スムーズに事業承継を行うことが可能です。事業承継を行う場合、後継者は贈与税や相続税を支払う必要があるため、ある程度の資金を作っておくことも必要に。
中小企業の後継者問題にお悩みの方はまずはご相談を
今回は中小企業の後継者問題についてご紹介しました。”モノづくりの日本”と呼ばれる背景には、多くの中小企業が培ってきた技術力があります。後世の日本にこのような高度な技術力やノウハウを残していくためにも、後継者問題を解決することは急務です。
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